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ラブホテルファンドはバラ色の投資先か?

ラブホテル関連図書のところで、『ラブホテルは今日も満室』の、そのご都合主義的な執筆姿勢に異を唱えたが、ここでは更に一歩踏み込んで、この本で紹介されているグローバル・ファイナンシャル・サポート(株)(GFS)のラブホファンドであるHOPEについて検証してみたいと思う。
なお検証に際しては、HOPEについてはj上記の著作及びGFSから取り寄せたHOPEα5のパンフ資料を元にしている。

・GFSのHOPEシリーズについて
まずこのGFSのラブホファンドであるが、まさしくこんなおいしい話があるのかと誰もが思ってしまう内容である。
配当利回りは8.4%〜12%がまるでほぼ確実であるような説明がされる。例えば、HOPEα5のパンフでは「元本500万円が5年間で782万円(予定)となります」と唄っている。普通に考えたら、現在の情勢下ではありえない利回りである。
だが、この”あり得ない利回り”を、さまざまな理由(レジャーホテルという収益力が高い、事業の性質上、大企業が手を出さないニッチ市場、有能なオペレーターの存在、ノンリコースローンの活用等々)を並び立てて十分に実現可能とする。
だが、冷静な投資家としてはファンドの販売元である当事者の話だけを鵜呑みにすることはできないことは言うまでもない。保険屋は自らの保険は素晴らしいといい、住宅メーカーは我が社の住宅は素晴らしいというのが当然であろう。同様、このファンドが自らのファンドは素晴らしいというのは当たり前のことであるし、そもそも成功できる理由、または逆に失敗する理由なんて、いくらでももっともらしく理屈を述べることができる。メリットを強調し、デメリットを無視か軽視すればいいだけである。簡単である。投資家はこうした主催者側の言葉巧みな甘言に踊らされてならないことは言うまでもない。
このラブホファンドは、いわゆる事業そのものを対象としたファンドである。投資家からお金を集め、ラブホを買収・運営し、そこであがった収益を投資家に分配するものである。
詰まるところ、このファンドの正否は事業の成功如何次第である。
よって最も注視しなければならないのは、いうまでもなく事業計画である。事業とは数字そのものである。客観的かつ数字に裏付けされた事業計画の検証なしでは、このファンドの評価はできない。
そこで今回、私はGFSより現在、募集中のHOPEα5の資料を取り寄せてみた。DVD、パンフレット、約款、そして申込書などが同封された立派なものが送付されてきたが、このファンドを称える表現が並び立てられているだけで、肝心の事業計画についてはお粗末の一言である。簡単な単年度の収支見込みが紹介程度に掲載されているだけである。肝心の、一体いくらでホテルを買収するかといったこと自体すらもわからなければ、リニューアルにいくらかけるのかもわからない。当然、買収に伴う不動産取得税・事業所税・登録免許税といったことの記述もない。単年度の収支計画もあまりにも簡単すぎて、明細が不明である。減価償却や法人税の支払いも考慮されていない。損益ですらそんな有様であるから、貸借(資産構成)に至っては、まるで触れられていない。
投資家にとって毎年の損益は配当に関わる重要な情報であるが、資産構成は更に重要な意味合いを持つ。何故なら、貸借こそが投資家に元本を返せるかどうかのを推し量る唯一の判断資料となるからである。スタート時点での貸借がどうなっていて、それがファンドが満期を迎える5年後にはそれがどうなっているのか? こうしたもっとも重要な情報が開示されなければ、このファンドを全く検証しようにもしようがない。
このラブホファンドでは何も新しく物件を新築してラブホを経営しようというものではない。あくまでも既存のラブホの買収である。過去の実績があるのだから、かなり正確かつ詳細な事業計画を組むことができるはずであるし、当事者は実際に組んでいるはずである。なのに何故、GFSはそうした事業計画を公開しないのか? やはり色々と見せられない裏事情があると考えるのが妥当であろう。
思うに、このラブホファンドは配当だけならきっと出し続けることができるだろう。これはラブホが非常に高い粗利益率を誇ることによる。GFSもこの利益率の高さをさかんに強調する。但し、粗利益率が高い=ラブホは儲かる、と考えるのは早合点である。
これは私に言わせれば、”会計上のカラクリ”である。得に利益率が高い訳ではない。
粗利は簡単にいえば、「売上ー仕入(+期末在庫)」で計算される。仕入とはいわゆる商品の購入費用である。
では、ラブホにおいては仕入のところには何がくるであろうか? 何ラブホにおける商品はいうまでもなく客室である。いわゆる建物設備と土地がラブホにおける商品である。ということはラブホにおける仕入とは建物と土地の購入代金が来るべきである。しかし現在の会計システムでは、建物と土地の購入は仕入ではなく資産の購入である。仕入れがないにも関わらず売上は上がるのだから、会計上は多額の利益が計上される。もちろん建物設備に関しては減価償却費として毎年経費計上をせねばならないが、それは10年〜15年にかけて計上すれば事足りる。しかもこのファンドは稼いだお金を基本的に配当に回してしまうようである。(そうしたないと上記の配当は出せまい)。しかしこれでは5年後に投資家に返すお金を売上から捻出することはできないであろう。よって、元本の返済は基本的にはラブホの売却を通じてということになる。当然、ラブホを売却すると、今の時代では購入した金額よりも値下がりをすると考えるのが常識であり、その場合は大幅な元本割れが生じるであろう。
もっともGFSはファンドの満期である5年がたっても、ラブホを売却することはまるで考えていないようである。基本的には、再度、ファンドを組む(リファイナンス)ことで対応するつもりである。上記本でも、「売ってしまったら終わり」「所有しつづけたほうが有利」と手放すつもりはないことが書かれている。しかしこれはあくまでも元本毀損の目減りを顕在化させないことが本当の理由であると思われる。
こうして考えてくると、このファンドはいつまでたっても配当という利息だけを支払い続けることだけが前提のファンドである。満期が来ても、取りあえずは再度、投資家を募集してお金を募ることにより、元本の返済を次々と繰越ししていくことで対応していく。そしてそうして時間稼ぎをしている間に、多数のファンド(パンフによると、今後3ヶ月に一つのファンドを発売していくという)を組み続け、そこでGFSが稼いだお金よって、ファンドに占めるGFSの投資金額を徐々に多くしていき、いずれなんとか投資家に損害を与えることなく軟着陸できるような可能性を見いだそうとしているように思える。

・その他の問題点
この他に、このファンドは色々と問題がある。例えばノンリコースローンでレバレッジを利かせて利回りを向上させると説明されるが、ノンリコースローンを組む代償として買収したホテルは当然、借り入れた金融機関の抵当に入ることになる。だが、投資家からお金を募って購入した物件を抵当に差し出して更にお金を借り入れることに果たして問題はないのだろうか?
また、ファンドを運営するのはコムエイという会社である。このコムエイはGFSの子会社である。ということはあくまでもファンドの運営側よりの立場であり、いくらでも利益調整ができる立場にある。例えば、Aラブホで必要な経費をAラブホでは売上が悪く負担が大きい場合には、利益があがっているBラブホの経費として落とすなんてこともできてしまう。倒産隔離ができていても、経営分離はできていない。GFSはファンドに投資家としても参加しているが、他の投資家が事業には何の口も出せないのに対して、GFSは絶大な影響力まで及ぼすことができるのである。
又、コムエイのオペレーション能力をGFSや上記本では絶賛しているが、そのコムエイが経営している看板ホテルのウオーターホテルMwはコムエイのノウハウではない。ウオーターホテルとは設計士である桑原氏が手がけるブランドである。コムエイがどのようなノウハウを持っているのかは定かではない。得に昨今のラブホは従来の奇抜さを狙った施設は陰を潜め、リラクゼーションが主なテーマになりつつあるため、なかなか従来のように特徴を打ち出しにくくなっている。しかもファンドが購入する物件は、いずれも現在、業績不振にあえいでいる物件であるということである。儲かって順調に行っている物件は誰も手放したりしない。このファンドは潰れかかったラブホを買い、再生させようというものであるから、並大抵のことではない。
事業には絶対ということはない。上記の本の著者やGFSがいくら成功する理由を並べ立てようが、事業というのはさまざまな要因で揺れ動く。圧倒的な競合店の登場により急速に業績が傾くこともあれば、天災(注)で致命的なダメージを受けることもある。内部要因(経営者の舵取り失敗や判断ミス)でも大きく変動する。バブルの頃、躍進していたスーパー二大大手であったダイエーとイトーヨーカードであるが、現在ではダイエーは完全に死に体になり、イトーヨーカードは踏ん張っている。電機業界においても、躍進が伝えられたたSONYが今や低落し、危機が叫ばれた松下が復活を遂げている。時代は変わる。消費者の趣向も変わる。事業の前には予想もしない事態が次々と襲い来る。やってみないとわからないのが事業であり、それが故に同業種であってもある企業は潰れ、ある企業は躍進するのである。
100%うまくいく保証がある商売なんてこの世にはない。こう考えていくと、このファンドはあくまでもハイリスク・ハイリターンの商品であると言わざるを得ない。こうしたことを念頭において、投資家の方は自己責任において投資してほしいと思う。

(注)上記本には「地震には保険が入っているので大丈夫」と書いてあるが、ホテルは地震保険には加入できない。損害保険会社の発売する地震保険は、あくまでも住宅及び併用住宅だけが加入対象である。なお、パンフには表現を変えて「地震には地震火災費用保険の適用範囲において保証されます」と書いてあるが、地震火災費用保険とは、火災保険に付保されている付属的な保証(費用保険)であり、建物が地震による火災により半焼以上になった場合に通常は火災保険金額の5%、300万円を限度をして支払われるものである。金額もわずかな上に、地震による倒壊には補償されない。

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