ラブホテルのことがすべてわかります
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ただでは済まないラブホテル火災

ホテル火災の特徴は、それが発生した暁には大惨事を引き起こしかねないということである。最近ではビル形式のラブホテルも増えてきている。そういうラブホテルで火災に見舞われた場合にはただでは済むまい。
ホテル火災といえば、有名なのが昭和57年に起きたホテル・ニュージャパンにおける火災事故である。寝たばこが原因で出火、死者33人名という大惨事を引き起こした。
ホテル火災において被害が拡大してしまう理由の一つに、ホテルスタッフの対応のずさんさが挙げられる。ホテル・ニュージャパンの火災では、フロント係が初期段階で火災を発見したにも関わらず、おろおろしているうちに火事が一気に広がってしまった。昭和41年水上菊富士ホテル火災においても、火災の原因を引き起こした警備員が宿泊客の避難誘導をせずに、近くにあった従業員宿舎に火災を報告しに行っている間に火が回ってしまった。その他のホテル火災も似たり寄ったりの傾向が見られる

火災報知器は役に立たない

ホテルでは火災に備えるために各部屋に火災報知器が義務づけられている。しかしこの火災報知器は、火事の際には意外と役に立たないことが多い。何故なら、火災報知器の誤作動を嫌い、あらかじめ警報ベルは停止されていることがあるからだ。上記の火災事故もほとんどで警報ベルが停止されていた。
これはラブホテルとて同様である。特に天井が低い旧式のラブホテルでは火災報知器は誤作動を起こしやすい。昭和51年の「ホテル青い城」火災事故はもろにラブホテルの火災であるが、この時も警報ベルは停止されていた。
誤作動で宿泊客にいらぬ心配をさせたくないという配慮から、ホテルや旅館というものはベルを鳴らないようにあらかじめ切ってしまうということがどうしても行われがちなのである。
こうしたベル停止を防ぐために最近の火災報知器は煙や熱を探知すると、フロントにある受信機に何階で感知器が作動したかという信号を送るだけで、すぐには警報ベルが鳴らないようになっている。
・さまざまな火災報知器の例

フロントは受信機に信号が送られてくると火災か誤作動なのかを調査、もし誤作動ということであれば停止ボタンを押せば、警報ベルは鳴らずにストップする仕組みである。

但し、調査時間は約1分弱しか与えられていない。それを過ぎると警報ベルは容赦なく大音響で鳴り響く。とてもではないがビル形式のラブホテルでは火災か誤作動かを判断している時間的余裕はない。よってあまりよいことではないが、実際の運用上は受信機の信号がなった時点で一度停止ボタンを押してベルをストップさせてから、調査を開始するということになる。
私のところでも経験があるが、火災報知器が誤作動すると、耳をつんざくばかりの大音響のベルとともに、「火事です、火事です、大至急、非難してください、火事です、火事です、大至急・・・・・・」の自動放送が館内に鳴り響く。まさにスタッフも客もパニック状態に陥る。そのような経験を一度でもしたことがあるラブホテルオーナーならば、間違いなくそのようなやり方をしているであろう。私も私のところのフロントにはそのように指示をしていた。
しかしこのような対応は、1歩間違えれば被害の拡大につながる。昭和61年菊水館火災事故、平成6年若喜旅館火災事故も火事発生後にベル停止がなされたことが被害を拡大した。
・フロントにある火災報知器に受信機

ラブホテルは火災の危険に満ちている

ラブホテルも含めてホテルはそのほとんどが鉄筋コンクリート造などの耐火構造である。消防法により壁やカーテン・絨毯はすべて防炎仕様のものを使うように義務づけられているし、そもそもホテルでは365日・24時間、常にスタッフが詰めている。そんな状況下において火事なんてあまり起きないと一般的には考えがちだ。だが、毎年200件前後はホテル・旅館によるぼや騒ぎが発生しているのが現実である。

ホテル・ニュージャパンの火災事故は、耐火構造であっても火事ではここまで燃え上がるものかと専門家達を驚かせた。しかも耐火構造は木造に比べ、煙のまわりが非常に早い。言うまでもなく、火災事故では一酸化炭素による中毒死が非常に多い。
現在、火事の原因の第1位は放火である。新宿歌舞伎町雑居ビル火災事故、2003年10月に奈良県で起きたラブホテル全焼事故も放火が原因である。

火事の原因の第2位はたばこであるが、ラブホテルでは大半の人がベッドで時間を過ごすため、寝たばこが当たり前である。客に寝たばこを辞めさせることを初めから諦めて、現実的な選択肢としてベッドの棚やナイトテーブルに灰皿を置いているラブホテルは多い。
いくら絨毯やカーテンが防炎仕様であっても、ベッドカバー類は防炎仕様のものはない。たばこの不始末などで容易に燃え上がる。
・ラブホテルでは寝たばこが常識
又、ラブホテルではスプリンクラーが設置されることはない。火災時には絶大な効果を発揮するスプリンクラーであるが、その設置は多大な経費がかかる上に、ラブホテルのような小規模建物ではまず導入対象外である。消防法では地上11階以上や床面積6000m2以上といったホテル・旅館しか設置を義務づけていない。そのような規模のものは、宿泊業全体でも2%足らずである。

ある程度の規模のラブホテルには屋内消火設備もあるが、いざというときにこれを使いこなせるスタッフもラブホテルにはいない。日頃から訓練をしている消防隊員すら、実際の火事の際には慌てふためき、パニックに陥るのである。過去の例でも屋内消化栓は未使用のままという報告が多い。
そして、ラブホテルでは客は急ぎ足でチェックインし、チェックアウトまで1歩も外に出ない。廊下も暗く、客はいざという場合には非常口がどこにあるかもわからない。
それでも、「ラブホテルみたいな小規模なでは火事になってもたいしたことがない」と思う人もいるかもしれない。だが、主な火災事故例で掲載したホテルの約7割が4階建て以下の小規模ホテルなのである。死者も一番多いのが2階、次に3階である。低い階=安全ではない。

ラブホテル火災にどのように備えるか

・常時、荷物置き場と化した非常階段
よってできるだけ火災発生のことを考えるならば、屋外階段のあるラブホテルがよいが、残念ながら外観を気にするラブホテルでは屋内非常階段が多く、屋外非常階段を持つものは少数派である。
ベランダも一時避難場所としては有効なので、できればベランダのあるラブホテルが好ましい。

点検が未終了の合図である清掃指示ランプがいつまでも点滅を繰り返しているラブホテルは注意したほうがよい。既に説明した通り、点検作業はタバコの不始末がないかをチェックする機能も担っている。それがおろそかになっているのだから、これは使う方としては恐ろしいことである。

次にラブホテルを利用する場合の心構えについて説明しよう。
まずラブホテルを使う場合にはチェックインの際に非常口の場所をよく確認すること。できれば実際に非常口のドアを一度開けてみることをお勧めする。非常口には鍵がついているから、その鍵の開け方も確認しておくこと。火事の際に、「非常口に鍵がついていることも知らずに開けられなかった」とか「鍵には気がついたものの開け方がわからなかった」といった報告は非常に多いのである。昭和41年水上温泉菊富士ホテル火災においても、非常口の鍵を宿泊客が開けることができずに多くの人が亡くなっている。
そして万が一、ラブホテルを利用中に火災に見舞われたら、慌てずに次のことに注意して行動しよう。まずは部屋から出る際にはハンカチやタオルを水に濡らして煙を吸い込まないように口に当てる。火の勢いが強い時には、バスタオルを濡らして肩からかけるなりして、熱に対応する。そして非常口を探す。非常口には誘導灯(緑の下地に人の姿が書かれているランプ)に加えて、最近では点滅型誘導灯(カメラのフラッシュのようにピカリと光る)も設置されているところもあるので、それを目安にすばやく移動する。
但し、非常口のドアを開けた時に、その奥が煙が充満している時は、更に他の非常口に向かう。小規模なラブホテルを除いては、左右逆方向に非常階段は2カ所設けられている。2カ所の非常口を確認しておく必要があるのは、こういう時に備えるためである。

避難の際にはエレベーターは決して使ってはいけない。エレベーターは火災の際には動きを停止するようになっている。途中で閉じこめられたりしたら、一巻の終わりである。

備えあれば憂いなしー火災事故で被害に遭わないためには、日頃からの用心深さが鍵を握る。
・誘導灯のあるドアに向かって走れ

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